網入りガラスの熱割れは冬の午前中が多い

寒くなってくると気になるのが、窓の結露です。

夜帰宅して炊事をやり、食事をすませお風呂に入りリビングで就寝前のくつろぎタイム。

さっと冷たい冷気が背中をさすります。冷気の元をたどると大抵はカーテンの向こうから。近寄ると寒い。カーテンを少しめくって見るとサッシはびっしょり濡れていて、床との境界線では今にも溢れそうなくらいの水たまり。

朝、目が覚める。カーテンを開けるとサッシはびっしょり。

いずれも結露ですね。外の冷たい空気で窓際の暖かい湿った空気が冷やされて室内側の接点で結露します。ほおっておくと窓枠やその下の壁が腐食したりカビが生えることもあります。最近ではホームセンターなどでガラス面に貼るプチプチが売られていますね。まあ、これも確かにガラス面での結露は防げますが結局サッシ枠で結露しますので同じです。あくまで気休め。

ところがちょっと困った問題も出てきています。

網入りガラスの熱割れ

網入りガラスの熱割れ

こうした商品の注意書きにも書かれているようですが、網入りガラスは一般的な透明ガラスに比べて中に鉄線が入っている分熱の温度差による変形度が大きく割れやすくなっています。

特に「冬の晴れた日の午前中」に多いとか。

AGC旭硝子(ガラスの豆知識)より

いわゆる自然現象。これにガラスの劣化度、サッシの状態、ガラス周りの状態、日照状況等々様々な条件がガラスの強度限界を超えた時に発生します。写真はひび割れ線が1本ですので、非分岐破壊ということになり小さな応力によって発生したものと推測できます。

賃貸マンションでは高価な断熱サッシなどは使いませんので、常にこの結露問題と熱割れ問題を抱えることになっています。多くの関係者にとって悩ましいのは、外壁の大規模改修工事で職人などがベランダへ出入りする場合、工事後に住人から「ガラスが割られてる」とクレームが入るとと言う別な問題も抱えている事です。そういう時に限って、住人が留守がちであったり、工事中はカーテンを閉め切ったりして気付くのが工事完了後しばらくしてからという事になり、出入り職人への確認手間が増え原因追及も難しくなります。ガラスを見れば外からの衝撃であるのか内側からの衝撃であるのかガラスのカケの有無で判断できます。またぶつけて割るなどした場合は蜘蛛の巣状に複数のヒビが入ると思います。熱割れの場合は内部崩壊ですのでこうしたカケがどちら側にもありません。また、ガラス面端部につながっていると思います。しかし時間が経てばたつほど色々な影響を受ける可能性がどんどん増えていきますので、熱割れした後にカケが生じることも考えられ、ますます原因特定は困難になります。

金額も普通のガラスに比べて高くて何でまたわざわざ網入りガラスと使っているの?とよく質問されます。これは、建築基準法に定められているからです。そして都市部など防火地域・準防火地域等一定の場合、建物の開口部(つまり窓など)には防火設備を有するよう義務付けられています。防火設備とは窓の場合は耐火ガラスとなり、網入りガラスもしくは耐熱強化ガラスという事になります。日本板硝子暮らしのお悩み対策より

ちなみに防火つながりですが、名古屋市全域では屋根不燃化区域が指定されていますので、当然茅葺屋根は無い訳です。さらにちなみにのちなみですが・・・・・色々なサイトで防火設備に関しての網入りガラスの指示は建築基準法及び消防法とありますが間違いです。ヤフーの知恵袋はもとより、プロのガラス屋さんのサイトでも間違っている記述が沢山ありますので誤解しない様にしてください。あくまで建築基準法に基ずく施行令、告示、技術的基準による指示です。消防法にはありません。この間違いは消防法による防火対象物の防炎品の指定と混同している事によると思います。例えば高層マンションのカーテンやカーペットなどです。

最後にオマケのはなし。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドラン」によると網入りガラスの熱割れは原則大家様負担です。ただし、断熱ためにプチプチを貼っていると争いが出てくるかもしれませんね。個人的見解ですが、カーテンや荷物などが接していたというのは通常考えられる日常生活の範疇として大家さん負担。プチプチを賃借人が貼っていたならグレーでガラス交換費用はせっぱんかな?プチプチの判例はあるのかな?そこまでは調べてません。でも商品の注意書きに網入りガラスには貼るなと書いてあれば大家さんは免責されないと可哀そう。

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