マンションの建替えはとても難しいです。
(詳しくは下記にリンクを貼っておきますのでそちらを見ていただければと思います。)
最初のハードルである「区分所有法にもとづく建替え決議」
これがまた非常に難しい話です。少なくとも1年~数年は地道に区分所有者への説得をしていくのが実態です。住民と言わず区分所有者とあえて書いているのは、法的な正確性というよりもそれが実態だからです。経年により、賃貸へ回す人が増えてくるので、実際のオーナーはそこに住んでいない場合が増えていきます。まずは実際のオーナーの了解を得るという事が必要になります。それも全オーナーの5ぶんの4以上です。100戸のマンションなら80戸以上のOKが必要になります。
それでやっとスタートラインです。
マンション建替え円滑化法によりその後の手続きが進めやすくなりました。さらに国土交通省では、現在もより利用しやすくなるように実態を調査し、改定に向けた検討が進められているところです。
今後、毎年全国で10万戸の建替え対象(築30年以上)になるマンションが出てくると言われている中で、実際に建替えたマンションはこれまででわずか150棟程度しかありません。
それだけ実際には難しいという事です。
日本の都市部の住宅地にはひとつの大きな特徴があります。
それは、近所の家族構成・世帯が似ている点です。それはひとえに、家は一生に一度。子供が小学校か中学校に上がる前に買う。そう言うひとつのセオリーみたいなものがあります。つまり家と共に住まい手が年をとっていく事になります。まさにその縮図がマンションです。
建替えが必要になる時は、ほとんどの住民(区分所有者)が老いています。健康状態から経済格差もかなり出てきます。一番良い結果は、持ち出しゼロで同じ広さの新居をもらえる事ですので、これを目指すことになりますが、それはかなり幸運なケースと言われています。あるデベロッパーの担当者は各世帯最低500万円程度は必要と言います。
中古の購入や相続などで若い新しい世帯が住民になるなど、きっかけがあると話が薦められるようです。もちろんそこにはアクティブに動く核となる人材が必要です。こうした条件が整わないとスラム化が進んでしまいます。せっかく地価の高いエリアにあっても、今後は人口減少の波もあいまって、早く手を打ったマンションだけが得をする事になるでしょう。
そもそも追加費用なしのズル替えできる建替えマンションは、高層化して新規分譲で経費を賄うというビジネスモデルです。そんな事が日本中で続けられるわけがありません。法規制や地域住民対策と言う以前に、新たに買ってくれる人が居なければ建築計画は立案すらできません。
うまくいくケースでも数年を要しますので、マンションにお住いの方々で最後まで住みたいとお考えの方は、率先して勉強会を早く立ち上げて一人でも多くの住民を巻き込んでいく動きをしていく事が成功のポイントですね。
参考URL
国土交通省 マンションの建替え・修繕http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansei/manseitatekae.htm
一般社団法人マンション再生協会 http://www.manshon.jp/
一般社団法人高齢者住宅財団 マンション建替等融資の債務保証 http://www.koujuuzai.or.jp/html/page02_04.html