逆木 のはなし
今日も「柱」のはなし。
「逆木」(さかき=「逆木柱(さかきばしら)」とも)と言います。
昔からこの逆木はその家に不幸を招くとして忌み嫌われています。
木の根方向を「元」上に伸びていく末梢を「末」と言い、こうした自然に育成している状態と同じように、
建築する時にも、柱の元を下に末を上にして使うというものです。
材木屋さんでは、木材を並べる時に逆木で並べると言います。
これは、水は元口から末口へ流れていくので、逆木にすることで地面からの湿気の吸い上げを抑止しようという配慮だそうです。
これを聞いた時は「なるほど。」と思いました。
が、よくよく考えてみると「じゃあ、建て方の時に逆木にした方がいいじゃない?」と思いました…。
また知人である静岡の山林王に聞いてみます。
一方で、社寺仏閣などの建築物では、建物の一部の柱をわざと逆木にして「魔除け」とした、
という習慣があったと言います。
古くからの言い伝えで「建物は完成した瞬間から壊れていく。」という極めて全うな考え方があり、
これを戒めるために逆木とした(つまり、未完成状態)ようです。
いずれにしても、古来より伝承されてきている約束事は一定の評価ができるものと考えてよいと思います。
木表、木裏、地元の木、さらには風水も含め、家づくりの機会があった時に自分なりに勉強して、
先人の知恵を上手に拝借しつつ適度なバランスで付き合っていく事が良いのではないでしょうか。