夫婦への想い

On 2005年11月10日 by admin
ある老夫婦のはなし

いきなり中日新聞の記事から。

『老老介護の果て…80代夫婦心中孤独な現実、将来を悲観』(平成17年11月10日中日新聞より)

福井県大野市七板の元火葬場の焼却炉で七日、焼死したとみられる二人の遺体が見つかる事件があり、大野署は近くに住む八十代の夫婦が焼身自殺したとほぼ断定した。二人は心中の前に財産の処分先を細かく記した遺言書を市役所に郵送するなど身辺をきれいに整理していた。身寄りがなく、近所付き合いも苦手だった二人が、火葬場という異例の場所で実行した心中の背景には老夫婦の「孤独な現実」があった。

夫婦には子供がいなかった。数年前から認知症の症状が出た妻(82)を夫(80)が付きっきりで介護。夫婦仲は良く、一緒に買い物に出掛けるところをよく目撃されていた。夫も最近は体調を崩し、病院に通っていたという。心中を決意した夫は決行前の六日夜、全財産を市役所に寄付し処分を依頼する遺言書を郵送していた。約一年前に作成されており、この時点で既に身辺整理を進めていたことがうかがえる。

エンジンをかけたまま焼却炉前に止めてあった夫婦の車には、六日夕に自宅を出てから焼却炉に点火するまでの行動が淡々と記された書き置きが残されていた。

「午後四時半、車の中に妻を待たせている」「午後八時、妻とともに家を出る」。その後、二人は兄弟の家や思い出の場所を通って焼却炉へ。「妻は一言も言わず待っている」「午前零時四十五分をもって点火します。さようなら」

車から大音量でクラシック音楽を流しながら一緒に焼却炉に入った二人は七日午後、白骨化した姿で並んで見つかった。まだ骨は温かかったという。

「(夫は)妻の面倒は自分で見るんだという人だった。将来を悩んで悲観したのでは」と近所の主婦は声を落とす。「神経質なところがあって、奥さん以外に心を開く人がいなかったようだ」と別の主婦が話すように、近所付き合いは希薄だった。大野市の担当者は、今回の事件に大きなショックを受け「一層細やかな配慮で、お年寄りを孤独にさせないようにしなければ」と声を落とす。 二人が住んでいた大野市七板は、市の郊外にある農村地帯。昔ながらの住民同士の関係が比較的残っている。そうした地域でも防げなかった老夫婦の心中に、行政だけでなく住民も心に大きな痛手を受けている。

木になった夫婦のはなし

2,3年前に読んだ何かの物語より。

ある老夫婦がいました。とても仲が良くいつも二人お互いを気遣いながら助け合って過ごして来ました。

ある夜、死期を悟った夫婦は一晩中お互いがいかに楽しく過ごしてこられたかを語り合いました。

「ありがとう。」

そう言ってお互いに手を取り合った時、二人の体から根が生えて枝が伸び、みるみる内に大きな木になりました。今でも寄り添うようにひっそりと森の中で寄り沿いながらたたずんでいるそうです。

同じ立場になった時、私はどうするのかな?

今日の記事を読んでふと、そんな昔話を思い出しました。

仕事やボランティアの活動など様々なところで沢山の方々とお会いさせていただきます。そんな時に「この人の奥さん(恋人)はどんな人でどんな夫婦(おつきあい)のあり方をしているのかな?」と考える事があります。ご結婚されていても、全くその奥さんの存在が見えてこない方。逆に積極的に話をされる方、など色々です。もちろんビジネスの場面では中々そんな会話ににはなりませんが、ちょっとした息抜きの時や食事に行った時などでプライベートな会話になる事があります。

新聞記事の話は実にやるせない思いでいっぱいになります。どんな想いで奥さんと自分を焼いたのか?分からないけれども、彼らが残したメッセージとして何かを受け取るならば、私は行政の不備とか近所のコミュニケーションだとかとは別のもっと個人的な内面で受け止めたいと思いました。

同じ立場になった時、私はどうするのかな?

きっとこの答えはその瞬間までの夫婦のあり方次第なのでしょうね。

時に人との付き合いは常識や建前という衣を脱ぎ去った次元で成されることがあります。土壇場になった時に初めてその人の本質が問われます。結婚する時どんな神様であろうと添い遂げることを誓います。何と世の中には嘘つきが多いのか。付き合いべたで真っ正直にたった一人だけを愛した男が、自分の心のままに貫き通した事をせめて誇りにおもって逝ったと信じていたいです。

One Response to “夫婦への想い”

  • umibouzu

    私も思わず泣いてしまいました。
    こんなことってあるんですね。とっても悲しい。私はどうかな…って思いました。

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